2017年5月11日木曜日

5月10日の活動報告

青山拓央「アキレスと亀:なぜ追いつく必要がないのか」の読書会を行いました。

論文ではゼノンの提起したパラドックス「アキレスと亀」が、与えられた条件からでは追いつくかどうかが確定しないという議論を行った。
青山ー植村モデルと呼ばれる競争がなりたつギリギリの条件(アキレス、亀、そして移動するための空間の存在)の世界では「アキレスが亀に追いつく時」なるものは存在しないということ。野矢の提唱する距離空間モデルでは青山ー植村モデルに加えて単位距離を定義するための紐を導入し、速さが表現可能になる。そのときにアキレスと亀の競争の全体が与えられ追いつく時点がモデル内に存在することになる。あとはその競争が分割の視点で語られるのか、構成の視点で語られるのかの違いだという。
最後により速いものが必ず追いつくという前提がなぜ常識となっているのかについて触れている。モデル内で定義した単位時間が現実の時計と偶然的に等比性をもつ(時計の斉一性)ために相対的にしか計れなかった速さに速度が定義され、アキレスはより大きい速度をもつため現実世界では亀に追いつくことができることになる。
(文:エヌ)

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